(「図書新聞」 紀田順一郎氏・安江明夫氏対談より)
安江 前回の『ドキュメント 戦後の日本』が出来ましたとき、アメリカの大学の日本研究の学生が
国会図書館に来ましたので、これを知っているかと見せたら、 日本研究の材料がここにたくさん埋まっていると言って驚いていました。 紀田さんも先ほどおっしゃっていましたが色々なヒントがたっぷりある、まさに宝の山だと感心していました。 この仕事に携わった私どもの先輩も、閲覧者がよく「ここ(新聞切抜室)は宝の山ですね」と 言ってくれたと話しています。 前の『ドキュメント 戦後の日本』は200万点の新聞切抜からそのエキスを活用しやすいように編集したものです。 第1巻の社会編「国民性とナショナリズム」では、今話題となっている「教育勅語」「靖国神社」を収めていますし、 最終巻の科学と自然編「自然保護」ではホタル、トキなどの記事が採録されています。 これらを紐解くとやはり温故知新の感慨を覚えますが、戦後55年たったこともなまなましくもう一度伝わってきます。 これは人物にしても言えることです。今回の『ドキュメント 人と業績大事典』は「読み物」としてもなかなか面白いです。 また「引く事典」としての価値も大きいと思います。新聞切抜とその集成は、もっと活用してもらいたい資料です。
・・・国立国会図書館「新聞切抜資料」の概略
@ 衆議院調査部で昭和22年1月から「新聞切抜」が始まる。
これを人的にも物的にも国立国会図書館が引き継ぎ、開館の昭和23年6月から作成業務を開始する。 昭和60年2月から作成方法を大幅に変更し、同業務を継続してきたが、平成5年3月をもって中止した。
A 開館と同時に「新聞切抜資料室」を開設し、一般の利用に供してきた。
B 切抜対象とした新聞は、昭和34年ごろまでは朝日、毎日、読売、日経、東京、
東京タイムス、東京日日、世界日報、世界経済、東京民報、時事新報、産業経済、 アサヒニュース、読売ウィークリー、日米ウィークリー、アカハタ、アカハタニュース、 社会タイムス、日本読書新聞、図書新聞、東大新聞、週刊朝日、サンデー毎日。 昭和35年ごろからは主として朝日、日経から、 その他補足的に毎日、読売、産経、東京、赤旗、日本読書新聞、図書新聞、 週刊朝日、サンデー毎日からとるという方法に変わった。
・・・『ドキュメント戦後の日本』『ドキュメント人と業績大事典』刊行までの成り行き
国立国会図書館では、200万点を超えるこの膨大な新聞切抜資料を、
切抜業務が中止される前後から劣化し始めた資料の保存をかね、 復刻版として再編集する事業企画が立案されました。 ナダ出版センターは、この事業に当初から編集協力として関わり、 『ドキュメント戦後の日本』(全50巻)刊行の推進役として参画してきました。 この50巻完結と同時に、ナダ出版センターが組織した編集委員会が、 『ドキュメント戦後の日本』ではほとんど収録できなかった人物資料を再調査し、 過去の新聞資料から人物情報のみを検索・活用できるものとして 『ドキュメント人と業績大事典』(全25巻+索引)の編集刊行をしました。 |