シリーズ福祉に生きる63 大場茂俊

シリーズ福祉に生きる(企画編集:津曲裕次・一番ヶ瀬康子)

著者:大場光

発行年月:2013年7月(大空社刊)

価格:2,200円(本体2,000円+税10%)

ISBN:978-4-283-00597-6

体裁:B6判・166頁・並製・カバー装

シリーズ福祉に生きる63 大場茂俊

(おおば・しげとし 1923・大正12~1998・平成10年) 「人間は常に未完成である。だから絶えず教育されなければならない。幼い子はもちろん、知恵の遅れた子等も恵まれた環境と指導のもとで、より大きく成長し、社会復帰も可能となる。この事業に携わる人々は、皆執念の人でなければならない。執念によってこそ、この道も拓かれる。」

これは、大場茂俊が知的・発達障害児者を支援する総合施設「おしまコロニー」を誕生させ育むにあたりを与えた使命と理念である。この言葉は、志を共にする人々へ向けて、また多くは自らに課したものであった。使命に対して一途だった。
障害をもつ人の人生に絶え間ない支援を、その時々のステージに必要とされる「生涯の支え」を。
「子どもは大事にするものだ」
「おしまコロニー」は機能共同体として一貫した施設群を整え、生まれて間もない乳児から、児童、成人、高齢者まで各世代に応じて、基幹となるべき施設を整備した。

大場茂俊 北海道月形村(現・月形町)生まれ。岩見沢中学(現・岩見沢東高)卒後、函館にて金子家綱氏の精華育英会の援助を得、日本大学法文学部卒。物価庁に入るも、精華育英会の事業継承のため退職、七重浜で大場精油所を経営。当時、地域の働く母親の切迫情況により、昭和28年上磯町に七重浜保育園開設。闘病生活の後、保育園での障害児との出会いを契機とし、社会福祉法人「侑愛会」設立。障害者療育の総合施設「おしまコロニー」(現・北斗市・ゆうあい)に発展させた。

(目次より)
第一章 生い立ちと青春時代
1育ち
2「精華育英会」理事長 金子家綱氏との出会い
3金子家綱氏との交流
4「精華育英会」の事業継承
5物価庁を退職し函館へ
6資金難とカボチャの種・大場製油所の開設
7結婚と五稜製油所の設立
8戦後復興と時代変化の兆し

第二章 社会福祉事業への歩み
1地域に保育園を
2「七重浜保育園」の開設
3油脂工場の閉鎖と病気療養
4障害をもった子どもたちとの出会い
5社会福祉法人「侑愛会」の設立
6海外視察と「コロニー」構想
7十万坪の土地探しと「当別保育園」の開設
8施設建設反対運動と「おしま学園」の開設へ

第三章 「おしまコロニー」の誕生とその展開
1「おしま学園」の誕生
2総合施設の目指すべき姿
3施設内障害児学級(特殊学級)の誕生
4「学校法人ゆうあい学園」の設立と「ゆうあい幼稚園」の開設
5「ゆうあい養護学校高等部」の開設
6大人の施設、「新生園」「明生園」
7「おしまコロニー」自立への道筋
8地域療育とおしまコロニー早期療育部門の体系化
9自閉症への熱き思い
10街の中で暮らしたい
11高齢者を支える
12機能共同体ということ
13病気との闘い
14文化を育む・吉川英治文化賞受賞
15腹部大動脈瘤発症、そして死
16後を継ぐ者

おしまコロニー療育支援体系図・主な施設・機関一覧
引用・参考文献
年譜及びおしまコロニー年表

【著者紹介】
(おおば・てる)北海道札幌市生まれ。札幌市立高等女学校(現・札幌東高)卒業。大場茂俊の妻として、その創業を支え、社会福祉法人侑愛会、学校法人ゆうあい学園の常務理事として長く運営に携わる。七重浜保育園、つくしんぼ学級、侑愛荘、函館青年寮各施設の施設長を歴任。平成5年に厚生大臣表彰、平成7年に第29回吉川英治文化賞を夫妻で受賞。現在、社会福祉法人侑愛会、学校法人ゆうあい学園顧問(刊行当時)。

【編者紹介】
(つまがり・ゆうじ)長崎純心大学大学院教授、高知女子大学名誉教授、筑波大学名誉教授。専攻は知的障害者施設史。
(いちばんがせ・やすこ)日本女子大学名誉教授。専攻は高齢者・児童・障害者福祉等、社会福祉全般。

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