近現代

NHK わたしの自叙伝 9.[学問・研究5]本田正次/木原均

NHK わたしの自叙伝 9.[学問・研究5]本田正次/木原均

本田正次(ほんだ・まさじ)1897(明治30)~1984(昭和59) 植物学者 熊本県出身
「草木を友に」~栃木山奥での新種発見の思い出。植物の老いと時間感覚とは何か。草花観察と種の消失を見届けてきたこと。戦時中、小石川植物園長として遭遇した様々な困難。植物はわが師・わが友・わが命。

木原均(きはら・ひとし)1893(明治26)~1986(昭和61)遺伝学・生物学者 東京都出身
「小麦をえらんだ道」~大学の先輩・坂村徹と出会い小麦研究の道へ。ドイツの研究者と意見を交わした在外研究時代。イランへの学術探検で小麦の祖先を発見した。いい研究をやってもその成功を本人が見ることは稀。

NHK わたしの自叙伝 10.[教育・宗教1]林竹二/大村はま

NHK わたしの自叙伝 10.[教育・宗教1]林竹二/大村はま

林竹二(はやし・たけじ)1906(明治39)~1985(昭和60) 教育学者・教育家 栃木県出身
「子供とともに育つ」~全国の小中学校で「人間について」200回を超える授業。退官後も各地で対話を続ける。成績というのは仮の姿、深い学習のある授業で成績の差は消える。子供は非常に大きな力を持っている。

大村はま(おおむら・はま)1906(明治39)~2005(平成17) 教育者 神奈川県出身
「教えつづけた50年」~戦後、新制中学での教育に無力さを感じた。子どもらの新聞切り抜きの「活字を見る目」に救われ、「やさしい言葉」でこそ本当に話し合えることに気づいた。出来ることを力一杯やらせれば子どもは伸びる。

NHK わたしの自叙伝 11.[教育・宗教2]城戸幡太郎/松前重義

NHK わたしの自叙伝 11.[教育・宗教2]城戸幡太郎/松前重義

城戸幡太郎(きど・まんたろう)1893(明治26)~1985(昭和60) 教育学者・教育家 愛媛県出身
「教育改革の旗の下に」~祖父の薫陶「自由であること」が教育観の基調。東北、北海道で生活綴り方運動と出会い、勤労主義から生活主義に転じた。弾圧も受けたが、戦後は「教育科学」を標榜した。

松前重義(まつまえ・しげよし)1901(明治34)~1991(平成3) 教育者 熊本県出身
「青年道場「望星学塾」の日々」~人生に悩んだとき聖書と内村鑑三に出会い教育を志す。無装荷搬送ケーブル実用化に尽力していた頃、デンマーク国民高等学校を訪問したことが後の望星学塾と東海大学設立につながった。若き日に汝の思想を培え。

NHK わたしの自叙伝 12.[文芸1]丹羽文雄/井上光晴

NHK わたしの自叙伝 12.[文芸1]丹羽文雄/井上光晴

丹羽文雄(にわ・ふみお)1904(明治37)~2005(平成17) 作家 三重県出身
「母への愛憎」~寺の子として生まれるも勘当される。母をひとりの女として描き「非情な作家」といわれた。放縦な人生を送った母の晩年を看取り「煩悩即菩提」「悪人正機」を実感。母がいなければ小説家の自分が存在しなかった。

井上光晴(いのうえ・みつはる)1926(大正15)~1992(平成4) 作家 福岡県出身 「ガダルカナル戦詩集」
「海底炭坑の青春」~起きながら眠り、眠りながら起きる術を得た、長崎の海底炭坑での壮絶な環境下の労働。初恋と失恋。霊媒師と香具師の騙しのテクニックに憧れた少年時代。それらが作家の原点となった。

NHK わたしの自叙伝 13.[文芸2]尾崎一雄/黒岩重吾

NHK わたしの自叙伝 13.[文芸2]尾崎一雄/黒岩重吾

尾崎一雄(おざき・かずお)1899(明治32)~1983(昭和58) 作家 神奈川県出身 「暢気眼鏡」「虫のいろいろ」
「病と貧乏と芳兵衛と」~自らの土俗的な作品傾向には、生涯の大部分を過ごしている小田原が影響している。着物を質流ししていた貧乏生活、療養生活を経て得た死生観を語る。人間は本来無一物。

黒岩重吾(くろいわ・じゅうご)1924(大正13)~2003(平成15) 作家 大阪府出身
「わが闘病時代」~百万人に一人という奇病にかかり4年間闘病。人生を、人間を恨み、悪い事をしていない自分がなぜこんな目に、と嘆いたが、絶望と向き合うことで生きがいを見つけた。苦しみが生きがいになれば怖いものは何もない。

NHK わたしの自叙伝 14.[文芸3]大原富枝/田宮虎彦

NHK わたしの自叙伝 14.[文芸3]大原富枝/田宮虎彦

大原富枝(おおはら・とみえ)1912(大正元)~2000(平成12) 作家 高知県出身 「婉という女」
「ふり返る青春」~高知の学生時代に友人が自殺、その頃から短歌を詠み始める。東京の学生と恋に落ちるが破局、戦後、男性の母親と34年ぶりに再会して慟哭。ふり返るのを自らに禁じていた「躓きの青春」を語る。

田宮虎彦(たみや・とらひこ)1911(明治44)~1988(昭和63) 作家 東京都出身 「足摺岬」
「父子のきずな」~父の愛を感じずに育ったことが創作意欲の原動力だった。スタンダール「赤と黒」やスタインベック「エデンの東」の父という存在に感銘を受け、父親の核心に触れる機会を得た。父親を小説に書くことで救われた。

NHK わたしの自叙伝 15.[文化・芸術1]新藤兼人/今井正

NHK わたしの自叙伝 15.[文化・芸術1]新藤兼人/今井正

新藤兼人(しんどう・かねと)1912(明治45)~2012(平成24) 映画監督 広島県出身 近代映画協会
「一家離散の記憶」~三代続く宮大工だった実家が離散。姉は家を助けるために多額の結納金を用意したアメリカ移民へ嫁いだ。53年ぶりに姉との再会をカリフォルニアで果たす。時の流れはしょうがないものだ。

今井正(いまい・ただし)1912(明治45)~1991(平成3) 映画監督 東京都出身
「レッドパージの頃」~戦後、会社企画のみの映画界から独立、「青い山脈」制作。戦争に絡む映画はGHQの検閲、レッドパージで屑屋の元締に。沖縄を知らずして「ひめゆりの塔」を制作し大ヒット。苦難の中、夢中で映画に取り組んだ。

NHK わたしの自叙伝 16.[文化・芸術2]今日出海/依田義賢

NHK わたしの自叙伝 16.[文化・芸術2]今日出海/依田義賢

今日出海(こん・ひでみ)1903(明治36)~1984(昭和59) 評論・演出家 北海道出身
「ルソン島脱出記」~陸軍報道班員として、フィリピン・ルソン島を5か月間放浪。難民村落での米国人彫刻家との出会い。台湾での特攻隊少年兵、台湾~本土間試験飛行路のこと。せっぱ詰まると文化もへったくれもないね。

依田義賢(よだ・よしかた)1909(明治42)~1991(平成3) 脚本家(映画) 京都府出身
「映画スタジオの青春」~活動からトーキー過渡期の映画界で溝口健二監督から厳しく鍛えられ脚本家に。社会派リアリズム映画が評価される。監督はスタッフとキャストの魂を作品に埋め込む仕事師、最高・最良を考えることを教え込まれた。

NHK わたしの自叙伝 17.[文化・芸術3]渡辺暁雄/高木東六

NHK わたしの自叙伝 17.[文化・芸術3]渡辺暁雄/高木東六

渡辺暁雄(わたなべ・あけお)1919(大正8)~1990(平成2)音楽家・指揮者 東京都出身 日本フィルハーモニー交響楽団
「母を語る」~フィンランド人の母が弾くピアノを聴いて育ち音楽家に。活動を始めた矢先の母の死。亡くなってはじめて母の存在、そのありがたさを感じ入った。フィンランドは第二の故郷。

高木東六(たかぎ・とうろく)1904(明治37)~2006(平成18) 音楽家・作曲家 鳥取県出身
「パリ留学時代」~宣教師の家に生まれ音楽に目覚める。ピアニストを目指し音校に入学するも中退、パリ留学の挫折、モンパルナスでの憂鬱な日々。シャンソン歌手ダミアに魅せられた青春。日本人には日本人の音楽がある。

NHK わたしの自叙伝 18.[芸能・スポーツ他1]博多淡海/北條秀司

NHK わたしの自叙伝 18.[芸能・スポーツ他1]博多淡海/北條秀司

博多淡海(はかた・たんかい)1930(昭和5)~1981(昭和56) 喜劇役者・座長 福岡県出身
「仁輪加仕立ての旅烏」~芸人の家に生まれ、学校にも行けず修業の日々。子どもながらに戦地慰問、芸人として浅草の舞台に立つ。一座を解散後、藤山寛美の松竹新喜劇に参加。振り返れば、芸人一家に生まれてよかった。

北條秀司(ほうじょう・ひでじ)1902(明治35)~1996(平成8) 劇作家・著述家 大阪府出身
「名優たちとの幾年月」~宝塚少女歌劇の台本が上演され劇作に没頭。鉄道会社勤務の傍らデビュー。遊郭に遊び、女の世界を描く。新国劇、新派、歌舞伎に台本を提供。数々の昭和の名優たちと一緒に芝居に取り組んだ幸せ。