日本工業博物館史の研究
発行年月:2023年10月
価格:3,850円(本体3,500円+税10%)
ISBN:978-4-86688-236-9
体裁:A5判・265頁・並製・カバー
明治以降、幾度となく提案されてきた日本の工業博物館設立計画、しかしいまだ実現されないのはなぜなのか?近代日本の博物館の歴史に刻まれる“工業博物館”構想に関わった官民・学術・教育の人々の営為を、厖大な史料文献・データを的確に整理し、鋭く歴史の核心に迫る。永年、博物館業務に従事してきた著者だからこその視点で書かれたユニークな業績。各種変遷・概要・分類・数量データから組織・人物略歴・社会背景を明解に提示する有益・豊富な図表54点を収載。読みやすい・明解な文章。
●詳細パンフレット *推薦します 水嶋英治(長崎歴史文化博物館館長/日本ミュージアム・マネージメント学会会長)
●書評が掲載されました
- 東京産業遺産学会「NEWSLETTER」163(新刊紹介2023年11月)
- 産業遺産学会「産業遺産学会誌」161(2024年3月)
- アグネ技術センター「金属 Materials Science & Technology」94(10)(今月の本棚2024年10月)
■主要キーワード■
博物館学 商品陳列館 万国博覧会 科学館 美術館 伝統 保存 コレクション 寄贈・委託品 実物展示 価値 実験室 プラネタリウム 殖産興業 科学技術 土木 建築 工業教育 理科教育 学芸員 社会教育 生涯学習 教育委員会 科学振興 産学協同 産業遺産 企業博物館 国家と地方 日本近代史
■主要目次
序章 西欧における工業博物館の歴史/研究の問題意識
第一部 明治政府の博物館政策と地方行政府による陳列所の展開(明治)
第1章 殖産興業と明治の博物館政策 工芸博物館設立計画の阻却
[博覧会と博物館の黎明:試行的なコレクション形成/上野の博物館:歴史・美術博物館への傾斜]
第2章 手工業から工場制工業への転換を促した愛知県商品陳列館と県下の織物業
[陳列所と工業博物館/山口貴雄の運営方針/愛知県の工業]
第二部 試験研究機関と高等工業学校に附属した工業博物館(大正)
第3章 東京市電気研究所附属電気博物館の設立と文部省による博物館政策の変化
[科学博物館・理化博物館を求める声の高まり]
第4章 長岡高等工業学校附属科学工業博物館による地域の機械工業支援
[長岡市の産業構造転換:石油掘削から機械工業へ/長岡工業相談所による地域産業への技術指導]
第三部 ドイツ博物館の紹介と工業博物館設立運動(昭和・戦前)
第5章 機械工学者らの唱導による工業教育改革運動と東京科学博物館の設立
[東京博物館から東京科学博物館へ/学術団体による工業教育改革案と工業博物館/ドイツ博物館の情報の入手とその動機]
第6章 日本工学会による工業博物館設立計画
[機械学会の工業博物館設立運動/工業博物館設立計画の挫折]
第7章 紀元二千六百年記念日本万国博覧会を契機とした工業博物館設立計画
[博覧会開催の要望から中止に至る政治過程/陳列館の恒久化による工業博物館設立計画/東京科学博物館の拡張計画への転換]
第四部 戦後の工業博物館設立運動とその変容(昭和・戦後)
第8章 清水勤二の唱導による市立名古屋科学館の設立 科学技術振興と工業博物館
[文部省科学教育局長、名古屋工業大学設立/技術者養成の声の高まり]
第9章 1960~1990年代の科学館の変化 工業博物館からの離反
[1960年代:理科教育支援と科学技術振興/1980~1990年代設立の科学館の類似性]
終章 なぜ工業博物館が設立されなかったのか/工業博物館の実現に向けて
引用・参照文献一覧 索引
■著者紹介:
(まぶち・こういち)現在、名古屋大学大学院教育発達科学研究科附属生涯学習・キャリア教育研究センター研究員、名古屋工業大学大学院および放送大学非常勤講師。博士(工学)。1957年、名古屋市生まれ。2021年3月、名古屋市科学館(主任学芸員)退職。
ご注文・お問い合わせ