近世・古典

江戸時代庶民文庫 70巻 〈古今評論〉早引人物故事ほか

江戸時代庶民文庫 70巻 〈古今評論〉早引人物故事ほか

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年11月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【人物辞典】
○〈古今評論〉早引人物故事(川関惟充/文政8年)
神代から近世まで、外国人や伝説上も含む約1800 人を収録したイロハ引き日本人物辞典。耳慣れた読み方で童蒙の引きやすさを重視。

江戸時代庶民文庫 69巻 物覚早伝授ほか

江戸時代庶民文庫 69巻 物覚早伝授ほか

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年11月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【教育・学問】
○物覚早伝授(呉門先生/明和8年)
作者伝授の種々の記憶法を記した書。後篇予告あるが未刊。本書の記憶術は卑賤ながら極めて実用的と述べ、具体的な記憶術を展開。12項目。
○間合早学問 後編(大江玄圃/安永2年)
漢学入門者のために仮名書きで学問の要点を記した『間合早学問』(同作者・明和3/本文庫51巻所収)の後編として編まれたもの。
○一覧博識(茹蘆山人/文化9年)
漢学入門者に経書や関連の初歩的知識を記した書。基本的な儒教経典・十三経や中国歴代の正史・二十一史、六経、文章や詩の諸体等。
○文教温故(山崎美成/文政11年)
初学者のために学問の要諦や心得を体系的に述べた書。いずれも故実や典拠を逐一提示・引用しつつ計10章68項について概説。

江戸時代庶民文庫 68巻 大津絵婦志ほか

江戸時代庶民文庫 68巻 大津絵婦志ほか

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年11月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【歌謡】
○大津絵婦志(一荷堂半水/安政年間)
▽三味線の調子を派手で陽気な二上りで歌う単純簡潔な俗曲、当時の流行歌・戯歌であった大津絵節を半丁に1曲ずつ収め挿絵を添えたもの。27曲。
○どゞいつ図会(梅暮里谷峨二世/文久2年)
俗謡(都々逸)集。前半部に情歌48曲の他約70曲、後半部に小編の三味線声曲集等約30曲を収録。流派や本調子、二上り、三下りといった三味線調弦法も付記する。
○〈調子附替唄入〉端唄独稽古(光盛舎作丸/安政3年)
「光盛連」と称する端唄連を主とし、編者自身も含む十数名の作品を集めた端唄集。作品毎に作者名や住所を記す。
○哇節用集(梅暮里谷峨二世/安政4年)
女子用往来や女用文章に頻出する名歌やその他の記事、消息例文等に、端唄や都々逸を盛り込んで編んだパロディ・戯文集。
○はうた用ぶん章(梅暮里谷峨二世/安政4年)
前掲書の前半部(初編)のみを抜粋した改題本。ほとんど重複するため、冒頭部と末尾のみを収録。
○はうた手おどり稽古本(十返舎一九/江戸後期)
端唄踊りの舞踊法を図解した教則本。割注形式で仕草・動きの略注と図解を添え、曲毎(全11曲)に衣装の色を変えて見やすくする工夫も見られる。
○新ぱんはうたおどりひとりげゐこ(歌川芳晴/江戸後期)
前掲書と類似の端唄踊りの教則本だが、こちらは舞踊の図解を中心に大きく掲げ、より詳細に説明。本文末尾で舞踊稽古の秘訣も助言する。5曲。

江戸時代庶民文庫 67巻 広益国産考ほか

江戸時代庶民文庫 67巻 広益国産考ほか

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年11月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【物産】
○広益国産考(大蔵永常/安政6年)
江戸後期を代表する農学者の集大成的農書で、諸国特産品や加工品の知識技術、農業経済上の心得等を多くの図版を交え記す。全8巻。最も詳細な農書として影響は近代以降まで及んだ。
○国産考(大蔵永常/天保13年)
前掲書に先立って冒頭2巻のみを刊行したもの。本文は同じであるため、表紙・巻頭・巻末などを参考資料として抄録。

江戸時代庶民文庫 66巻 時勢話大全ほか

江戸時代庶民文庫 66巻 時勢話大全ほか

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年11月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【笑話・小咄】
○時勢話大全(橘香亭瓶吾/安永6年)
▽絵入りの小咄集。大半が半丁程度の短編で全5巻に50話を収録。小咄の題目と出典のみを示した箇所もある。随所に咄本の広告を掲げる。
○しみのすみか物語(石川雅望/文化2年)
▽『宇治拾遺物語』風の擬古文・平安説話集風の雅文で書かれた笑話集。当時の題材の他、中国説話集や漢文笑話集からも着想を得た話からなる。上下二巻、合計55話。
○奇談新編(淡山子/天保13年)
長短含む49話から成る漢文笑話集。独創のみでなく和書や漢籍からの翻案も多く、著述と編訳が相互に混じり合った日中混成作品。種々の奇談に潜む寓意を読み取ることを読者に促す。
○古今秀句落し噺(景斎英寿/弘化1年)
古今の秀句を題材にした短編笑話集(咄本)。いずれも最後に落ちを付ける小咄で、半丁程度の短文から数丁に及ぶ長文もある。15話。

江戸時代庶民文庫 65巻 画筌

江戸時代庶民文庫 65巻 画筌

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年6月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【絵画(入門書)】
○画筌(林守篤/享保6年)
絵画入門書。狩野派秘伝の暴露本となったが、絵を独学しようとする者には、理論と実技の解説、図様の実例などが懇切に用意された便利なハウ・ツー本として、大いに歓迎され、版を重ねた。

江戸時代庶民文庫 64巻 西洋衣食住ほか

江戸時代庶民文庫 64巻 西洋衣食住ほか

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年6月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【料理・近代家政】
○西洋衣食住(片山淳之介〔福沢諭吉〕/慶応3年)
図解で紹介(三部構成)。「衣之部」は、多くが男性用衣服で、用途・形状・素材、また着用・装飾の心得等にも言及。「食之部」は、最小限の食事マナーや饗応時の酒についても触れる。「住之部」は、西洋人の身嗜みや、室内の土足やベッドでの就寝など日本とは異なる生活習慣について述べ、末尾に、十二時法と西洋時計の見方を説明。
○万宝玉手箱 初篇(杉田成卿/安政5年)
海外の著作の中から生活に役立つ「簡便利用の方法」を集め、雑多な備忘録を加えた。西洋の科学的知識を活用した生活上の工夫が目立つ。
○〈日用助食〉竃の賑ひ(大蔵永常/江戸後期)
主として都会でその日暮らしをする人々に対して、飢饉時の救荒食、特に米や雑穀や野菜を混ぜた「かて飯」を主とする救荒食の作り方や効能その他の関連知識を紹介した書。
○〈料理調菜〉四季献立集(秋山子/ 天保7年)
初心者にも分かりやすく四季料理の献立と調理法を解説した料理書。二汁五菜、鱠之部、酢之部、四季附込之部、平之部、四季鉢肴、丼物之部など、調理法や諸注意を箇条書きで簡潔に記す。

江戸時代庶民文庫 63巻 摂生談ほか

江戸時代庶民文庫 63巻 摂生談ほか

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年6月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【食養生】
○摂生談(近藤隆昌/文化12年)
本書以前の数多くの養生書の中から「食療(食養生)」に関する事柄を選んだもの。全二巻、本文全て仮名交じり文。「進養生説三章」「脾胃調養法十八条」。
○食療正要(松岡玄達/明和6年)
食養生(食療)を説いた医学書。全13部434 項の食品について異名、外見その他の特徴、気味(味覚や毒性の有無)、主治(効能)、禁忌などを詳しく記す。

江戸時代庶民文庫 62巻 舎密局必携 前篇ほか

江戸時代庶民文庫 62巻 舎密局必携 前篇ほか

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年6月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【科学(化学・物理・理学)】
○舎密局必携 前篇(上野彦馬/文久2年)
化学実験を効率的に行うために、西洋の諸文献に基づき主要元素の「稟性・親和力・異重力・効用、其他各材ノ成分・配合・分量等」を抄訳して図解を施した化学入門書。「舎密」は蘭語chemie の訳語(化学の意)。当時最先端の科学史の一資料。
○硝石製造辨・作焔硝製造方(佐藤信淵/嘉永7年)
火薬の原料・硝石製造法の技術書。住居の床下から掘り起こした土から硝酸カリウムを析出して硝石を製造する「古土法」と、藁・草・木の葉に石灰や糞尿をかき混ぜた土を硝石小屋に積み上げ、定期的に糞尿をかけて四、五年経過した後に硝酸カリウムを抽出する「硝石丘法」の二つを多くの図解を交えて解説。
○気海観瀾(青地林宗/文政10年)
日本で初めて刊行された本格的な物理学・気象学書。著者が翻訳した蘭書『格物綜凡』(J.Buys,Natuurkundig Scoolboek(物理学教科書)』(1798)から「気性」関連を抜粋・編集。体性、引力、気重、窒気、燃気、光、色、音、風、越列吉的爾(エレキテル)質、気化、虹、暈、潮汐など全40項目。
○慈石論(石井磯岳/文政10年)
中国の文献等によりながら磁石に関する知見や故事をまとめ、その起原を考察した、磁石に関する本邦最初の文献。鉄と相性が良い磁石が太陽が盛んな南方を向くという原理を応用した方位磁針等。

江戸時代庶民文庫 61巻 菊花壇養種ほか

江戸時代庶民文庫 61巻 菊花壇養種ほか

解題者:小泉 吉永

発行年月:2018年6月

【ジャンル】書名(主な作者/刊行年など)
【園芸・飼育】
○菊花壇養種(菅井菊叟/弘化3年)
菊花の栽培法を豊富な図解とともに記した園芸書。珍花・奇妙と言われる菊花は「栽培の手入の巧」が決め手(序)、その秘
訣として培養、如露、風雨の手当、虫除等を記す。
○金魚養玩草(安達喜之/寛延1年)
出版された金魚飼育書の嚆矢。日本における金魚の故事から執筆の経緯に触れた「金魚のものがたり」等。
○厩馬新論(竜山堂主人/嘉永7年)
荻生徂徠の『鈐録』を参照し、多く林子平作『海国兵談』を援用しながら、己の体験・見聞や故事に基づく自説も交え、特に、馬術に志ある「小禄窮士」の者が馬を飼う秘訣を述べた書。
○〈諸鳥餌養〉百千鳥(泉花堂三蝶/寛政11年)
飼い鳥の餌の製法や餌の与え方、飼い鳥の養生や治療など飼育全般を述べた書。たとえば餌の製法について、米の粉拵え様、摺餌青味、水を飼うと飼わざる、爪切り様、篭仕立て、羽変わりの事など27項目。