明治から平成まで精査した初の翻訳目録
   文献目録の精度をワン・ランク高めた総合作品目録


 世界文学総合目録 全5巻 


 川戸道昭・榊原貴教編 全10巻 B5判 本体 各巻24,000円
 全10巻+索引1巻 セット価格 本体価格 264,000円


 徹底した現物確認が定説を修正し
 世界文学の各作家・各作品の初訳を更新する
 原典を可能な限り探究した初の翻訳作品目録



刊行のことば


 明治以降、日本は西欧を鑑として社会を形成してきた。文学も西欧近代文学を手本とし、厖大な翻訳が行われた。だが、波及は「文学」にとどまらず、政治システム、教育の方法、市民生活のありようにまで広く影響を及ぼした。
 その結果、世界文学がもっとも多く翻訳された言語は、日本語であり、日本語を習得すれば、世界文学を読破できるとまでいわれている。とはいえ、その全容を作品ごとに分類し、総合目録が作成されたことは一度もなかった。国立国会図書館が一九五九年に編纂した『明治・大正・昭和 翻訳文学目録』と、その増補といえる翻訳図書目録の蓄積は、いずれも原典の特定が図書館カードの域を出ておらず、新聞・雑誌に及ぶことはない。各作家ごとには、それぞれの専門研究者によって作家別翻訳文献目録が作製されているが、作製時期の問題や特殊な作家に限定されている憾みがある。
 翻訳文学の世界はこの百四十年余、文化のグローバル化とその歩みを共にしてきた。世界化した日本の文化環境をふりかえるには、その全容を把握する目録の作成が喫緊の時期にきている。そして、比較文化の視野がさらに高まるならば、現代の経済のグローバル化に対置する新しい文化の世界化の指針も提示できるに違いない。
 編者は国立国会図書館の明治期翻訳書のマイクロフィルム化とその目録書の刊行を始めてから二十五年間、新聞雑誌の調査、および明治・大正・昭和の翻訳文献の古書蒐集を重ね、現物にあたりながら原典特定の作業をつづけてきた。ここにその成果として、『世界文学総合目録』全十巻を刊行する。
 本書は、明治初年から昭和二十年までに初訳が行われた外国作家を網羅し、その作家の翻訳作品を作品別の目録として編纂する。収録した作家については、本書刊行時〔イギリス編は平成二十年・アメリカ編は平成二十二年・フランス編は平成二十三年・ドイツ編ロシア編及び北欧南欧東欧インド中国編は平成二十四年〕までに刊行されたすべての翻訳作品を収録する。百五十年の世界文学総合目録と謳うゆえんである。
 『世界文学総合目録』が今後の翻訳研究・文化研究の基本資料として活用されることを願うものである。




構成


第1巻 イギリス編@(あ〜し)
〔アディソン、アンスティ、イェイツ、ウィーダ、ウェブスター、ウェルズ、ウォルポール、ウッドハウス、ウルフ、エインズワース、エリオット、オースティン、オフラハティ、オルツイ夫人、ガーネット、カーペンター、カーライル、ギッシング、キプリング、ギボン、ギャスケル、キャロル、キングスレー、グレゴリー夫人、ゴールズワージー、ゴールドスミス、コリンズ、コンラッド、サッカレー、シェイクスピア、シェリダン、ジェローム、シュウェル、ジョイス、ショー、シング〕の全翻訳作品

第2巻 イギリス編A(す〜は)
〔スウィフト、スコット、スターン、スタンレー、スティーヴンソン、スマイルズ、ダンセイニ、チェスタートン、チョーサー、ディケンズ、デフォー、デュ・モーリア、ド・クインシー、ドイル、ドリンクウォーター、ハーディ、ハガード、ハックスレー、バニヤン、バリー〕

第3巻 イギリス編B(ひ〜わ)
〔ビーコンズフィールド卿、ピネロ、ヒューズ、ファラー、ブロンテ(エミリ)、ブロンテ(シャーロット)、ベネット、ホープ、マコーレー、マリー、マンスフィールド、ミルトン、メイスフィールド、メレディス、モア、モーム、モリス、ラスキン、ラム、リットン、ロレンス、ワイルドー【補遺】ジョンソン/ボズウェル〕の全翻訳作品

第4巻 アメリカ編
〔アーヴィング、アンダソン、ウィギン、ウェブスター、オー・ヘンリー、オニール、オルコット、キャザー、クーリッジ、ゴールド、コールドウェル、サローヤン、ジェイムズ、シンクレア、スタインベック、ストウ夫人、ソロー、デル、ドライサー、ノリス、バーネット、バック、フィッツジェラルド、フォークナー、ブロムフィールド、ヘミングウェイ、ポー、ホーソーン、マーク・トウェイン、リード、ルイス、ロンドン〕

第5巻 フランス編@(あ〜と)
〔ヴィニー、ヴィルドラック、ヴェルヌ、ゴーチェ、サン=テグジュペリ、サンド、サン=ピエール、ジッド、シャトーブリアン、シュー、スタンダール、ゾラ、デュマ・フィス、デュマ・ペール、ドーデ、ドーノワ夫人、バルザック、バルビュス、フイリップ、フランス、プルースト、プレヴォー、フローベール〕の全翻訳作品

第6巻 フランス編@(な〜わ)
〔ペロー、ボーモン夫人、マルロー、マロ、ミュッセ、メリメ、モーパッサン、モリエール、ユゴー、ラディゲ、ルソー、ルナール、ロスタン、ロチ〕の全翻訳作品

第7巻 ドイツ編
〔ヴェーデキント、カフカ、クライスト、ゲーテ、シャミッソー、シュトルム、シラー、ズーダーマン、ティーク、ニーチェ、ハウフ、ハウプトマン、ビュルガー、ヘッベル、マン〕の全翻訳作品

第8巻 ロシア編
〔アンドレーエフ、オストローフスキイ(A・N)、オストローフスキイ(N・A)、ガルシン、クプリーン、ゴーゴリ、コロレンコ、ゴンチャローフ、ショーロホフ、チェーホフ、ツルゲーネフ、ドストエフスキー、トルストイ(A・K)、トルストイ(A・N)、トルストイ、プーシキン、ブーニン、レールモントフ〕の全翻訳作品

第9巻 北欧・南欧編
(北欧編)アンデルセン、イプセン、ストリンドベリ、ハムスン、メーテルリンク、ヤコブセン、ラーゲルレーヴ、ローデンバック、(南欧編)アラルコン、イソップ、コッローディ、セルバンテス、ダヌンツィオ、ダンテ・アリギエーリ、デ・アミーチス、ピランデッロ、ブラスコ・イバニェス、ボッカッチョ、モラエス〕の全翻訳作品

第10巻 東欧・アラブ・インド・中国編
〔(東欧編)シェンキエヴィッチ、チャペック、ハシェク、モルナール、レイモント、(中国編)呉承恩、施耐庵、蒲松齢、羅貫中、蘭陵の笑笑生、魯迅、(インド編)カーリダーサ、ジャータカ、タゴール、アラビアン・ナイト〕の全翻訳作品

別巻 作品名索引・総目次
〔研究編執筆者 川戸道昭、金子幸代/佐藤宗子/千森幹子/成田鈴己/平岡敏夫/山本いずみ/藤元直樹/平田耀子/小林実〕




本書の特長


 1.10万点の翻訳作品を収録するかつてない規模の目録
 2.新発掘資料と最新刊資料を併せ収載する
 3.翻訳作品の書影と挿絵を満載する図像集
 4.明治から平成までの作家像を浮上させる序跋からの引用集。
 5.第一線研究者による論考――10名の研究者が寄稿する翻訳文学論収録




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