第1期
第1巻 メーテルリンク集

2003年12月刊行

この一世紀に日本人を変えた何かが起こった。
文学作品が日本人の生き方を変え、心の糧としての文学がやがて葬られた。
その象徴的な運命を担ったのが、メーテルリンクの翻訳作品であった。
第一次世界大戦の渦中にあった小国ベルギーの劇作家は、評論や講演で力の限り叫んでいた。
しかしそれ以上に、彼の作品の力は静かであるが多くの日本人の心を変えた。
大正期に登場した文学者と知識人はその地下水脈で
メーテルリンクの影響を蒙らなかったものはいないであろう。
完成された全集ではうかがえない歴史の動態を編集する。



【収録作品】

タイトル 訳者 掲載誌 頁数
明治43年6月 メーテルリンクの「ペレアスとラメサン」〔梗概〕 赤とんぼ 歌舞伎 10
明治44年4月 ビアトリス尼の梗概 田中雨村 白樺 18
明治44年5月 七人の病める王女〔戯曲〕 森ほのほ 歌舞伎 26
明治44年8月 奇蹟〔戯曲〕 冬青樹 演芸画報 13
明治44年8月 嬰児虐殺 一宮栄 芸文 17
明治44年11月 日常生活の悲痛 和気律 帝国文学 11
明治44年12月 室内〔戯曲〕 北沢貞造 帝国文学 15
明治44年12月 タンタジルの死〔戯曲〕 金子範二 太陽 17
明治45年3月 タンタヂールの死〔戯曲〕 灰野庄平 歌舞伎 26
明治45年3月 死(1) 山本禿坪 スバル 9
明治45年4月 死(2) 山本禿坪 スバル 16
明治45年4月 タンタヂイルの死〔戯曲〕 小山内薫 三田文学 34
明治45年4月 七人の姫〔戯曲〕 北沢貞造 帝国文学 28
明治45年6月 過去 竹友藻風 芸文 20
明治45年6月 室内〔戯曲〕 内藤濯 六合雑誌 16
明治45年7月 運命 内藤濯 六合雑誌 7
大正1年11月 マグダラのマリア〔戯曲〕(1) 三上白夜 新人 6
大正1年12月 マグダラのマリア〔戯曲〕(2) 三上白夜 新人 15
大正2年2月 マグダラのマリア〔戯曲〕(3) 三上白夜 新人 9
大正2年3月 マグダラのマリア〔戯曲〕(4) 三上白夜 新人 10
大正2年4月 マグダラのマリア〔戯曲〕(5) 三上白夜 新人 9
大正2年5月 マグダラのマリア〔戯曲〕(6) 三上白夜 新人 8
大正2年6月 マグダラのマリア〔戯曲〕(7) 三上白夜 新人 20
大正1年11月 アラディーヌとパロミード〔戯曲〕 森ほのほ 歌舞伎 37
大正1年11月 ペレアス、メリサンド〔戯曲〕(1) 竹友藻風 芸文 13
大正1年12月 ペレアス、メリサンド〔戯曲〕(2) 竹友藻風 芸文 14
大正1年11月 ペレアスとメリザンド〔戯曲〕 島村抱月 早稲田文学 57
大正2年1月 社会進化論 荒畑寒村 近代思想 4
大正2年1月 アグラヴエヌとセリセツト〔戯曲〕 秋田雨雀 早稲田文学 65
大正2年1月 内在の美 折竹蓼峯 六合雑誌 14
大正2年1月 埋もれたる宮より――過去 加藤一夫 六合雑誌 14
大正2年1月 マレエヌ姫〔戯曲〕(1) 内藤濯 六合雑誌 17
大正2年2月 マレエヌ姫〔戯曲〕(2) 内藤濯 六合雑誌 17
大正2年3月 マレエヌ姫〔戯曲〕(3) 内藤濯 六合雑誌 17
大正2年4月 マレエヌ姫〔戯曲〕(4) 内藤濯 六合雑誌 24
大正2年5月 マレエヌ姫〔戯曲〕(5) 内藤濯 六合雑誌 23
大正2年1月 マリイ・マドレエヌ〔戯曲〕(1) 吉田絃二郎 六合雑誌 48
大正2年2月 マリイ・マドレエヌ〔戯曲〕(2) 吉田絃二郎 六合雑誌 37
大正2年2月 尼僧ベアトリース〔戯曲〕(1) 矢口達 聖盃 11
大正2年5月 尼僧ベアトリース〔戯曲〕(2) 矢口達 聖盃 41
大正2年4月 アラディンとパロミデス〔戯曲〕(1) 野上臼川 詩歌 18
大正2年5月 アラディンとパロミデス〔戯曲〕(2) 野上臼川 詩歌 9
大正2年4月 七王女〔戯曲〕 島村抱月 早稲田文学 26
大正2年4月 心の葉〔詩〕 訳者不記 帝国文学 1
大正2年5月 光を失ひし時〔詩〕 藤井夏人 新人 4
大正2年5月 青い鳥〔戯曲〕(1) 斉藤寅一 スバル 57
大正2年6月 青い鳥〔戯曲〕(2) 斉藤寅一 スバル 49
大正2年7月 青い鳥〔戯曲〕(3) 斉藤寅一 スバル 28
大正2年8月 青い鳥〔戯曲〕(4) 斉藤寅一 スバル 9
大正2年9月 青い鳥〔戯曲〕(5) 斉藤寅一 スバル 25
大正2年7月 祈祷〔詩〕 藤井夏人 新人 1
大正2年7月 モンナ・ワ゛ンナ〔戯曲〕(1) 島村抱月 早稲田文学 8
大正2年8月 モンナ・ワ゛ンナ〔戯曲〕(2) 島村抱月 早稲田文学 20
大正2年9月 モンナ・ワ゛ンナ〔戯曲〕(3) 島村抱月 早稲田文学 48
大正2年9月 近代戯曲論 飯田敏雄 文章世界 10
大正3年3月 盲ひたる姉妹ふたり〔詩〕 竹友藻風 心の花 1
大正3年4月 日常生活中の悲劇 吉江孤雁 仮面 15
大正3年4月 アリアーヌと青髯〔戯曲〕 木村幹 自画像 39
大正3年4月 ラ・ヴィ・プロフォンド 豊島與志雄 自画像 16
大正3年4月 魂のめざめ 高月藹之助 新潮 8
大正3年4月 沈黙 高月靄之助 早稲田文学 10
大正3年5月 吉江孤雁 仮面 16
大正3年8月 深刻なる生活 吉江孤雁 仮面 18
大正3年9月 ベアトリス尼〔戯曲〕(1) 松枝盤壑 新女界 8
大正3年11月 ベアトリス尼〔戯曲〕(2) 松枝盤壑 新女界 9
大正3年12月 ベアトリス尼〔戯曲〕(3) 松枝盤壑 新女界 13
大正3年12月 王女マレーヌ〔戯曲〕(1) 大江蕃太郎 新人 16
大正4年1月 王女マレーヌ〔戯曲〕(2) 大江蕃太郎 新人 14
大正4年2月 王女マレーヌ〔戯曲〕(3) 大江蕃太郎 新人 14
大正4年3月 王女マレーヌ〔戯曲〕(4) 大江蕃太郎 新人 19
大正4年5月 王女マレーヌ〔戯曲〕(5) 大江蕃太郎 新人 22
大正4年1月 普通選擧 園田微風 第三帝国 2
大正4年10月 動かぬ「時」〔詩〕 小林進 新人 4
大正5年3月 罪無き者の虐殺 北沢貞造 帝国文学 14
大正5年5月 死者不滅之説 梓楼 文章世界 3
大正6年7月 ヒロイズム 木村荘太 白樺 10
大正6年8月 「難破の残片」より(1) 木村荘太 白樺 16
大正6年9月 「難破の残片」より(2) 木村荘太 白樺 28
大正6年8月 冬をねがへる〔詩〕 曾野簡治 六合雑誌 1
大正7年5月 アラデインとパロミイド〔戯曲〕 二階堂真珠 六合雑誌 12
大正7年7月 吾々の社会的義務 木村荘太 新しき村 9
大正7年11月 「一兵士の死」、他四編 木村荘太 白樺 46
大正8年1月 エヂス・カヴエル、他三篇 木村荘太 白樺 25
大正8年2月 死者は死せず 木村荘太 白樺 6
大正8年3月 波蘭の為めに、他一篇 木村荘太 白樺 9
大正9年1月 メリー・マグダレーン〔戯曲〕(1) 藤原菫子 六合雑誌 7
大正9年3月 メリー・マグダレーン〔戯曲〕(2) 藤原菫子 六合雑誌 5
大正9年5月 メリー・マグダレーン〔戯曲〕(3) 藤原菫子 六合雑誌 12
大正9年7月 メリー・マグダレーン〔戯曲〕(4) 藤原菫子 六合雑誌 9
大正9年9月 メリー・マグダレーン〔戯曲〕(5) 藤原菫子 六合雑誌 12
大正9年10月 メリー・マグダレーン〔戯曲〕(6) 藤原菫子 六合雑誌 4
大正9年12月 メリー・マグダレーン〔戯曲〕(7) 藤原菫子 六合雑誌 6
大正9年11月 婚約〔戯曲〕(1) 小川龍彦 白樺 25
大正9年12月 婚約〔戯曲〕(2) 小川龍彦 白樺 45
大正10年1月 婚約〔戯曲〕(3) 小川龍彦 白樺 37
大正10年1月 婚約〔戯曲〕正誤表 小川龍彦 白樺 2
大正10年7月 スチルモンドの市長〔戯曲〕(1) 山村魏 白樺 52
大正10年8月 スチルモンドの市長〔戯曲〕(2) 山村魏 白樺 23
大正10年10月 蜜蜂の憤怒 多加美佐葉良年 三田評論 5
大正11年11月 青い鳥(有楽座舞台協会所演芝居見たまゝ) 榎十二郎 演芸画報 12
明治期の翻訳作品については、
「明治翻訳文学全集」(新聞雑誌編) 第49巻メーテルリンク集に載っています。



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